
健診で指摘された方へ
健診で指摘された方へ
健診で異常を指摘されたということは、今が視力を守るための重要なタイミングかもしれません。今は見えていても、将来の「見えにくさ」や「失明リスク」を減らすため、できるだけ早めに眼科を受診し、正確な診断と必要な対応を行うことが望まれます。
会社の健康診断や地域の住民健診、人間ドックなどで、「目の異常」や「要精密検査」と記載された結果を受け取って、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
健診でよく見られる指摘には、「視神経乳頭陥凹の拡大」「視神経乳頭異常」「眼底出血」「視力低下」「網膜の変化」「高眼圧」などが含まれます。これらはすぐに深刻な症状が出るわけではない場合もありますが、放置することで進行性の病気を見逃してしまう可能性があるため、必ず眼科での詳しい検査を受けることが大切です。
多くの網膜・視神経疾患は、初期の段階では自覚症状がほとんどありません。例えば緑内障は「気づかないうちに視野が狭くなっていく病気」と呼ばれ、進行するまで日常生活に支障が出にくいため、発見が遅れることがよくあります。糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症なども、初期段階では見え方に変化を感じにくく、出血やむくみが起きて初めて気づくことが多いのです。しかし、その頃には視力が大きく低下しているケースも少なくありません。
健診では、限られた時間と検査内容の中で異常の可能性を拾い上げるスクリーニング(ふるい分け)検査が行われます。視力検査や眼底カメラによる撮影、場合によっては眼圧測定が含まれることもあります。
こうした検査で以下のような異常が見つかると、精密検査が推奨されます。
当院では、健診で目の異常を指摘された方に対し、以下のような最新機器を用いた精密検査を実施しております。当院では、これらの検査結果をもとに、病気の有無や進行度、今後の方針についてわかりやすくご説明いたします。必要に応じて、継続的な経過観察や専門医療機関への紹介も行います。
視力検査(矯正視力)
視力検査は、見え方の程度を調べる基本的な検査です。裸眼の状態と、眼鏡やコンタクトレンズを装用した矯正状態の両方で測定を行います。視力の低下が屈折異常(近視・遠視・乱視)によるものなのか、それとも視神経や網膜など他の病気が関係しているのかを判断するための第一歩です。
眼鏡やコンタクトで視力がしっかり出る場合は屈折異常の可能性が高く、矯正しても視力が出にくい場合は眼底疾患や角膜の病気などが疑われます。
眼圧測定
眼圧検査では、眼球の内部にかかる圧力を測定します。眼球の中には房水という液体が循環しており、その量のバランスにより眼圧が決まります。眼圧が高すぎると視神経を圧迫してしまい、緑内障のリスクが高まります。
逆に眼圧が低すぎる場合にも眼内の構造に問題がある可能性があります。当院では空気を当てる非接触型検査や、必要に応じて直接器具を眼にあてる接触型検査も行います。
眼底検査
(眼底カメラ・眼底三次元解析)
眼底検査は、眼の奥にある網膜や視神経、血管の状態を調べる検査です。眼底カメラを使って、瞳孔の奥にある網膜や視神経乳頭、網膜血管の状態を写真に収めます。
糖尿病網膜症や高血圧性網膜症、緑内障や加齢黄斑変性など、多くの病気の早期発見に役立ちます。瞳孔を広げる散瞳剤を使用する場合もありますが、通常は数時間で元に戻ります。健診で「視神経乳頭陥凹拡大」や「出血斑」があると指摘された方には特に重要な検査です。
OCT検査(光干渉断層計)
OCT(光干渉断層計)は、網膜の断層を高解像度で撮影する最新の検査機器です。赤外線を用いて、網膜の各層の厚みや構造の乱れを数ミクロン単位で可視化できます。特に緑内障や黄斑疾患、糖尿病網膜症などの早期発見や、経過観察において欠かせない検査です。
患者様には機械の中を数秒間見ていただくだけで、痛みや不快感はありません。眼底検査で異常を指摘された方には、精密な診断のためにこの検査を組み合わせて行うことが多いです。
視野検査
視野検査は、物を見るときに「どの範囲まで見えているか」を調べる検査です。特に緑内障では、視野の一部が欠けてくる「視野欠損」が特徴的な症状の一つとなります。専用の機械を使って、中心から周辺までの見え方を細かく確認します。
自分では気づかないような小さな視野の欠けも正確に検出できるため、早期発見に非常に有効です。検査には一定の集中力が必要ですが、スタッフがサポートしながら進めますのでご安心ください。
屈折検査・調節検査
近視、遠視、乱視など、目のピント調整に関わる屈折状態を調べる検査です。機械を使って自動的に測定するオートレフ検査のほか、小児などでは目の調節力を一時的に麻痺させて正確に測る調節麻痺検査(サイプレジン点眼など)を行うこともあります。
視力低下の原因を明らかにするためには、こうした屈折異常の有無を把握することが重要です。特にお子様の場合、調節が強く影響するため、慎重な検査が必要です。
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